「夢十夜」夏目漱石 第一夜 =朗読=
11/09 -Thu- 2006 10:02:12

こんな夢を見た…。
とはじまる、夏目漱石の夢十夜をお届けします。
第一夜
こんな夢を見た。
腕組をして枕元に坐(すわ)っていると、仰向(あおむき)に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。女は長い髪を枕に敷いて、輪郭(りんかく)の柔(やわ)らかな瓜実(うりざね)顔(がお)をその中に横たえている。真白な頬の底に温かい血の色がほどよく差して、唇(くちびる)の色は無論赤い。とうてい死にそうには見えない。しかし女は静かな声で、もう死にますと判然(はっきり)云った。自分も確(たしか)にこれは死ぬなと思った………
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